成功する会計事務所のM&A、失敗する会計事務所のM&A(譲受希望事務所編)

いつも船井総研のメルマガをお読みいただきまして誠にありがとうございます。
M&Aグループの柴崎です。
今回は士業事務所、特に成功する会計事務所のM&A、失敗する会計事務所のM&Aについて、お伝えさせて頂きます。
こちらの内容は士業事務所以外の経営者様にも是非ご参考いただきたい内容です。

 

私は8年間、税理士事務所向けのコンサルティングを専門に行ってきたこともあり、士業事務所様からのM&Aに関するご相談を多数いただきます。
特に今年に入ってからは、税理士法人様からのご相談を多数いただいております。

 

その中で、譲渡を希望していても買い手がつかない事務所の特徴
もしくは、譲渡案件を検討し、譲受を希望していても、逆に売り手に選ばれない事務所の共通点がございましたので具体的にお伝えしていきたいと思います。

 

今回は譲受を希望しており、譲渡案件を検討していたにも関わらず、M&Aを成功できなかった会計事務所の要因と特徴です。
是非これから譲受を希望している経営者様は、これらの課題をしっかりと解決しておくことで、今後のご成約の確度を高めるためのご参考になさってください。

 

理由① 後継者となる士業資格者を配置できないこと

 

現状では多くの士業事務所は後継者不在のため、後継者となる税理士を送り込んで欲しい、というのが実情です。
当然のことながら既存の士業事務所に登録している税理士が代表の先生1名であった場合、もしくは、税理士法人で税理士が2名しかいない、となると新たに譲り受ける士業事務所に税理士を配置することができません。
必然的に売り手の士業事務所様からは、初期段階で候補から除外されることが多くあります。
そのため、将来のM&Aに備え、現状から士業事務所内の士業資格者の数について意識して採用活動を取り組んでいただくことが重要かと思います。

 

理由② 買い手企業の業務内容が従来型の業務のみであること

 

二つめの理由は、税務・会計以外のコンサルティングが出来るか、という点です。
具体的に、先日私がいただいたご相談で
「今の事務所の体制では、顧問先や地域の中小企業にDX支援をすることが出来ない。そういった経営支援、DX支援ができる事務所に譲渡したい。」
という売り手のオーナー経営者の想いをご相談いただきました。
すなわち、「一円でも高く買ってくれるところに売りたい。」
という時代から新たな価値観が創出されてきており、ワンストップ型の体制が取れていて、将来の自社の成長を安心して任せられる相手が求められています。
これまでの経営者、特に創業者なら尚更、今まで大事に育ててきた事務所のM&Aを決断するのは、大変な決意です。そのため結果的に第三者に譲るのであれば、これができる事務所に譲渡したい、という想いが強いのも最近のM&Aの傾向だと思います。

 

せっかく譲渡案件があって、譲受希望を出しても、従来の税務会計のサービスしかできない、ということでは譲渡事務所から選ばれません。
将来のM&Aに備えて、税務支援以外のサービスを育てていく必要があり、具体的には、「財務顧問」「MAS監査」「事業計画策定支援」「中小企業向けIT支援・DX支援」といったところが代表的な例です。

 

理由③ 組織体制・教育コンテンツが属人的であったこと

 

三つ目の理由は、譲受事務所の組織体制です。
特に教育体制が重要視されます。
細かいところでは、使用している会計ソフトは何かを気にされる事務所様も多少はございますが、実際はそこが原因で結論が出ることはありません。
重要なポイントとして、譲渡側の従業員様が合併した後、新しい事務所に馴染めるか、良い協力関係が実現できるか、と考えたときに、譲渡側の経営者が見るのが、譲受事務所の教育体制が仕組化されているかどうかです。

 

また、自社よりも大きな事務所に譲渡するのであれば、これまでの経営ではできなかったことが出来る事務所や、自社にはない従業員教育を提供できる事務所と合併したい、というご要望をお持ちになります。

 

現状の経営をしていく中で教育コンテンツを仕組化していくことはなかなか忙しくてできないということが多いですが、将来のM&Aによる譲受を想定したら、更に教育体制、教育コンテンツを準備し、仕組として定着させていくことが必要となります。

 

そうすることで、合併した後、譲渡側の事務所のやり方をすぐに変更しなくても、まずは、教育体制から、譲受側の事務所のやり方を浸透させていくことで、ソフトランディングでの統合が可能になります。過去、ご成約に至らなかった案件では、譲受企業様が教育制度について、属人的な要素が多くみられたことから譲渡企業様が見送られました。

 

以上、今回はM&Aで事務所拠点を増やしていきたいものの、ご成約に至らなかった士業事務所の特徴を、まとめてお伝えしました。

 

これからM&Aを活用して事務所を大きくしていきたい、とお考えの経営者様は、是非上記の3つの理由で失敗しないよう、事業計画の中にM&A計画を入れるだけでなく、そこにむけて「税理士の採用計画」「新サービスの事業戦略」「教育体制・コンテンツの仕組化」をご検討ください。

 

船井総研では、今すぐのM&Aの相談だけでなく、M&Aによる成長戦略を検討するところからアドバイスをさせていただいております。

 

次回は、士業事務所が譲渡を希望しているのに買い手が見つからない、という売り手視点の事務所の理由と特徴についてお伝えします。
是非ご覧ください。

 

【船井総合研究所 柴崎】

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