コロナ収束後を見据えた業界別M&A動向

■はじめに
新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い収束を心よりお祈り申し上げます。
 
依然として影響が長引いているコロナウイルス感染症を踏まえ、コロナ収束後を見据えたM&Aメールマガジンを全4回配信します。現在、M&A市場の変化が起こりつつあります。
今回は業界別のM&A動向についてご説明いたします。
 
■業界再編が一気に進む
コロナ収束後は、確実に「業界再編」が進みます。このような大転換の時期には各業界一番企業や体力のある企業に優秀な人材や、資材・具材・原材料というモノ、お金が集中し、優勝劣敗がこれまで以上にはっきりと現れます。
また、経営者の平均年齢が若返ります。日本は経営者の平均年齢が約60歳であり、世界で一番高いと言われてます。これは、日本の企業の良い面でも悪い面でもあるのですが、そのあたりの年齢が5〜10歳ぐらい若返ると推測されます。いわば、業界全体として新しい世代の経営者にバトンタッチしていくひとつのきっかけとなります。
これまでM&Aは「売り手市場」でしたが、これが一気に「買い手市場」になります。それに従い、これまで比較的高く付いていた企業価値の算定がシビアになり、全体的な相場は確実に下がります。
 
■コロナ収束後のM&Aの進み方
コロナ収束後、M&A市場において大きく変わると思われるもう1つのポイントとして、「有力な買い手が減る」という点があります。
各業種・業界とも大企業も中小零細企業も何等かの影響を受けています。これまで積極的にM&Aを進めていた会社がM&Aに消極的になることや、従来買収に意欲的な会社やIPOを目指していたような会社が「売り手」に変わることも出てきます。
更にもう1つの論点として、「BCP(事業持続計画)」が再着目されていることもあげられます。これは、有事の際に経営のリスクヘッジをするために事業を分散化させたり、内製化を進めたり、外注化を進める動きを指します。BCPの一環として、M&Aを活用する機会は確実に増えてきます。
 
■コロナ収束後の業界別のM&Aの進め方
前述を踏まえ、いくつかの業界を例に取ると下記のような動きが出てくると推測されます。
 
1.外食産業
今回、最もダメージを受けた外食に関しては、大半の企業が取り組んだデリバリーやテイクアウトを強化していくため、当該業務に強い会社を中堅大手が買収していくという動きが出てくると思われます。
更にはスーパー等で売られている日配品・加工食品・冷凍食品といったところにまで買収の動きは出てくると思われます。
 
2.住宅業界
住宅業界も業界再編が進みます。着工や完工が全体に1〜2ヶ月ずれるだけで、財務体質が弱い企業は大きなダメージを受けます。
今回のコロナの影響を通して、「ある程度の規模感に会社を育てておかなければ、有事の際に乗り切ることができなということ」を感じられた方もおられると思います。財務体質の強い、地域の上位企業に集約されていく流れは加速すると推測されます。
 
3.運送業界
運送業・中古車業界に関してはこれまでも業界再編は進んでましたが、これがますます、加速します。同業間のM&Aは当然のことながら、整備事業など従来外注化していたものを内製化する目的で、M&Aが進むと推測されます。
 
4.医療・クリニック。治療院業界
医院・クリニック・治療院業界に関しては、従来より後継者不足が言われていました。前述の通り、業界としての平均年齢が一気に下がるようになることが考えられます。地域の老舗の医院・クリニックが、若くて勢いのある医院・クリニックの院長、またはM&Aを積極的に行っている医療法人のグループに入っていくという流れが加速します。
 
上記の他にも様々な業種・業界で再編が起こる中、M&Aは一つの大きなファクターになっていきます。次回は、「自社の企業価値の把握の仕方」について解説いたします。
 
【執筆者】
㈱船井総合研究所
金融・M&A支援部 M&Aグループ ディレクター
宇都宮 勉

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