M&Aの企業価値査定がシビアに:コロナウイルスの影響とは?

●はじめに

新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い収束を心よりお祈り申し上げます。

事業承継・M&Aの検討・実行において、コロナウイルスの影響は看過できる状況ではなくなっているのが現状です。

前回のメルマガ『アフターコロナに向けたM&Aの考え方』では、コロナ収束後の業界再編の一連の流れと、それを見据えたM&Aの考え方に触れました。

今回は
「以前から、事業承継を考えていた」
「そろそろ、第三者への譲渡(M&A)を考えて、候補者を探そうと思っていた」
と感じておられたオーナー経営者様の目線からコロナウイルスの影響に触れてまいります。

 

●M&Aの企業価値査定額がシビアに

一般的には中小企業のM&Aにおける企業価値算定方法の一つとして、次の算式がよく利用されています。

企業価値=(A)直近の事業の正常収益力(企業の利益)×(B)マルチプルn年分(業界
相場倍率)+(C)純資産(資産から負債を控除したもの)

コロナの影響により、企業価値の査定額(M&A時の譲渡価格)もシビアになることが推測されます。以下、各項目を解説します。
 

(A) 直近の事業の正常収益力(企業の利益)

概ね直近3カ年分の経営成績が考慮されます。譲渡企業または譲渡対象とする一部事業の業績を鑑みて正常収益力を算定します。多くの業界において市場の縮小が示唆されていますが、今後コロナ感染症の影響が長期間に及ぶほど、業績悪化による正常収益力の減少に繋がります。

また、決算申告後の決算書が、企業価値の査定根拠に含まれる点も留意が必要です。例えば、5月が決算期の企業の場合、通常7月末までに税務署へ申告が必要となります。
この時、2020年5月時点で決算申告前に企業価値の査定を行う場合は、2019年5月期の決算データを考慮します。

一方で2020年7月末以降の決算申告後に企業価値算定を行う場合は、2020年5月期の決算データが基本情報として査定に含まれます。つまり、今回のコロナウイルス感染症は、2020年1月以降に影響が現れましたが、この影響が反映された直近決算を査定材料とするかで企業価値が変動しますので確認が必要となります。
 

(B) マルチプルn年分(業界相場倍率)

譲渡対象企業の業界における事業成長の期待度が高ければ、nの値は大きくなります。
業界全体の成長が期待できるAI・IoT業界をはじめその他情報通信サービス業は、nの値が大きく、業界によっては10倍がつくこともあります。一方で、比較的成長が落ち着いた業界では概ね1倍や2倍といった低い倍率となります。

今回のように一部の業界を除いて、全般的に業界市場の縮小が発生している状況下では、マルチプルが従来よりも減少する可能性が高く、適宜、業界相場の情報収集が必要だと考えられます。
 

(C) 純資産(資産から負債を控除したもの)

企業の資産は現金や預金等の金銭のほか、事業所を構える土地・建物の不動産時価が査定対象になります。一概にはいえないものの、今後の景気後退が予想される状況では、資産価値の下落も十分に考えられます。簿価と時価の乖離が発生し、「不動産取得時の価格よりも大幅に下がってしまった」「買い手が思ったより価値をつけなかった」というケースは、減額した分がそのまま企業価値に反映されます。
 

● M&Aを検討すべきタイミング

譲渡対価の金額の変動は譲渡後のオーナー経営者自身の生活に多いに関係します。
コロナ収束後を待たずにM&Aの検討を行い、事前にアクションプランを決めておくことが、結果として適切な経営判断となります。

特に、
 自社単体での事業改善の目途やビジョンの達成が困難
 会社や事業をたたむ場合、むしろコストが想定される
 主要顧客との取引が縮小している
 数カ月の運転資金確保が困難
 休業中に社員の退職が予想される
 事業承継を検討していたが、コロナウイルス感染症で対応が後回しになっている

といった点に該当される企業様は、まさに事業承継・M&Aを早い段階でご検討されることをお勧めいたします。
船井総研では、オンライン面談(無料)をご用意しております。事業承継・M&Aの考え方、準備すべき点、弊社のご支援方法にいたるまで、幅広くご相談にお答えします。

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また、M&Aをした場合の企業価値について、1分程度で簡易的に算出が可能なシステムをご用意しております。
業界・業種・地域等、所定の項目をご記入いただくだけで、算出できる仕組みになっておりますので是非ご活用ください。


 

株式会社船井総合研究所
金融・M&A支援部 M&Aグループ
アソシエイト 平井 貴大

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