『失敗しないHD化のポイント』とは? ~グループファイナンス編~

皆さま、こんにちは。金融・M&A支援部の小松靖教です。
 
今回はホールディングス・コラムの第二回目としまして、グループファイナンスに的を絞って話をしたいと思います。
 
はじめに自己紹介をしますと、大学を卒業後に金融機関で約9年勤務して弊社に転職した身でございまして、前職では実際にホールディングス形態をとられている企業様も担当させていただいておりました。
今回は、そんな経験を踏まえた話できればと考えております。では早速本題に入らせていただければと思います。
 
グループファイナンスと言えば、親会社となるホールディングスにファイナンス機能を集約し、そこを起点としてグループ会社へ資金融通する形態を想像されるのが一般的かと思います。
 
ただ、一口にファイナンス機能の集約といっても、(1)資金調達(原資の調達)(2)資金融通(グループ会社への資金融通)の2つポイントがあり、具体的な内容は下記通りです。
 
(1)資金調達
原資となる資金をどこ(外部もしくは内部)で調達するのか。そしてその調達方法を(デットもしくはエクイティ)どうするのか、です。
まずはどこで調達するのか、についてですが、非上場企業の場合、外部としては金融機関やファンド等、内部としてはグループ会社からの資金(吸い上げ)が考えられます。
恐らく、金融機関からの調達が一番なじみ深いのではないでしょうか。
一方で、内部での調達も重要でして、グループ全体でいかに資金効率の良い運営ができるか、ということにも繋がります。
 
例えば、親会社のホールディングスに加え子会社A・B・Cの計4社でのグループが存在し、子会社Aの資金は潤沢、子会社B・Cの2社の資金が足らない場合を考えてみます。
ホールディングスの資金が潤沢な場合は良いですが、子会社B・Cの必要相当の資金が足らない場合は金融機関から借りれば良いのでしょうか。
確かにそれも1つかもしれませんが、グループ全体の資金効率の観点で言えば、最良ではないかもしれません。状況の通り、子会社Aには余剰資金があります。
これを利便性高くグループ各社に融通できれば、資金効率を上げられます。
その方法としてキャッシュ・マネジメント・システム(以下、CMS)があります。CMSを活用できれば、一定のルール・設定のもとに自動的にグループ全体の資金効率向上を図ることができます。
 
経済効果しては、グループ各社の資金の余剰と不足を、均一化など一定のルールの下で自動的に資金を動かし、ネッティング(資金余剰と資金不足を相殺)することで金融機関からの借入(つまりは支払利息)の最小化を図るというものです。
ただCMSの利用には一定の費用が掛かりますので、その点を考慮の上で利用可否を判断いただければと思います。
 
 
(2)資金融通
資金融通方法も検討すべき事項が2点あります。
1点目は融通方法をデットもしくはエクイティのどちらで行うか、2点目は融通の範囲をどこまでにするか、ということです。1点目については、元本の回収難度(減資手続きなど)からデットでの融通(グループ内貸付)が基本となります。
2点目の融通の範囲ですが、何かしらの基準を持たせるべきだと考えており、実際に「資金使途」を基準とするケースが多かったように認識しています(基準を設けていない場合もありましたし、金額を基準に置いている場合もあるかと思います)。
 
私の経験則で言えば、グループの形成のされ方によってそれが異なるということです。端的に言うと、「グループ内からの分社によるもの」と「M&Aによるもの」で大別でき、前者の方が資金使途を問わず資金融通しているケースが多いように思います。
後者の方は、運転資金のみホールディングスから融通、設備資金は各子会社で調達、といった具合です。資金融通の範囲は「運転資金のみ」であっても、以下のような違いもあります。
 
ホールディングスにグループ各社の不動産管理機能を担わす場合を考えてみます。新たに取得する不動産はホールディングスで所有することになるので、結果的にホールディングスでの借入となる、つまりは子会社への資金融通の範囲が運転資金のみとなるケースと反対に、各子会社の独立採算・資金繰りを明確にするという意図等でホールディングスに同機能を付与しない場合、上述した後者のようなケース(運転資金はホールディングス、設備は各子会社)があります。
 
結局のところ、ホールディングスを主体に、グループ全体でどの会社にどんな機能を持たすか、によって変わります。
また、このあたりについては、メインバンクを中心とした金融機関との調整も必要になってきます。
ホールディングス前の既存借入をどうするか(ホールディングスへの集約有無など)、借入を集約する場合における担保状況はどうなっているか、連帯保証人はどうなっているか、などの検討も伴います。
ホールディングス化実行前にしっかりと金融機関に事前説明をし、良好な関係維持を前提として本件を進めていただければと思います。
 
 
10月3日(木)13時より弊社の五反田オフィスにて
「ポスト2020年次世代の新戦略 東京オリンピック後の未来の指標 船井総研オススメの経営モデル~持続的成長を組織再編で実現するホールディング経営~」
を開催いたします。詳細は下記URLをご確認ください。
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/050597
 
持続的成長になぜHD化が有効なのか実際の事例を交えながらご紹介させていただきます。本メルマガを通じてHD化に興味を持たれた方、HDを実際に検討している方はぜひご参加いただければ幸いです。
 
本稿が、皆様の組織運営の一助になれば幸いです。
最後までお読みいただき、有難うございました。
 
金融・M&A支援部
小松 靖教

メールマガジンの一覧へ
このメルマガの配信を希望する
事業承継・M&Aに関するお問合せをする