新型コロナウィルスがIPO市場に与える影響と、資金調達以外のIPOのメリット

新型コロナウィルスにより、株式市場全体に大きな影響を与えておりますが、資金調達以外のもIPOのメリットがありますので、ご紹介します。
市場も近年に例のない対処が求められています。
 
みなさま、船井総研IPOチームでございます。
主に弊社会員企業様向けにIPO(新規上場)準備のご支援を行っております。
 
2020年に入り、上場承認社数は順調に推移しておりました。
オリンピック期間前に上場と、という流れからも、3月上場予定で次々と上場承認が下りていました。
 
ところが新型コロナウィルスの影響から、株式市場が低迷するようになり、新規上場承認を取り消す企業が増えていました。
証券取引所の上場承認が下りてから、1ヵ月以内に上場するのですが、上場承認が下りてから、上場前に取り消すというケースになります。
 
通年は1社か2社のところ、すでに9社が上場承認を取り消し(2020年3月24日時点)ており、異常事態となっております。
今後も、同様の傾向が続くとみられ、上場承認が下りる前に上場時期を来期に伸ばすケースも増えることが想像されることから、年間90社前後で推移していた新規上場企業数も、50社や60社に留まる可能性が高そうです。
 
上場を取り消した背景として、多くの会社は、大株主にファンドや親会社がいることから、株式市場の低迷から想定の時価総額での上場が難しく、想定した資金調達が困難と判断したためと考えられます。
 
資金調達面で上場を取り消した企業がある中、予定通りIPOしている企業のほうが多いのも現状です。そこで、上場によって得られるメリットは資金調達以外にもありますので、ここで紹介させていたします。
 
上場のメリットは以下のようになります。
 

 
上場市場には大きく東京証券取引所と地方証券取引所(札幌、名古屋、福岡)に大別されます。
 
市場ごとに上場に求められる基準が異なるため、自社にあった市場がどこか、基準を事前に確認した上で、どの市場で上場を目指すかを判断する必要があります。
地方の取引所での上場は東証よりは資金調達額が低い傾向にありますが、地元での企業のブランド力、知名度の向上は期待できます。
 
最近の傾向としては、採用力強化のために上場を目指す、という企業が増えています。
この採用力というのは一般的な新卒、中途採用、幹部候補のみならず、極端にいうと後継者となる社長候補をいかに採用するかという視点も含めての考え方になります。
つまり、事業承継の手段として上場という手段を選択することができるのです。
 
次に資金調達について解説していきます。
 
上場によって調達した資金はエクイティファイナンス(株式資本)に分類されます。このエクイティファイナンスはデットファイナンス(借入金融)と異なり、無担保で返済義務はありません。
 
このように上場することにより資金調達の選択肢が増えることになります。
また、新規上場の際に、個人保証を外す必要があります。
一般的に主幹事証券会社の審査が始まった時点などのタイミングで金融機関などに申し出を行う必要があります。
 
では、上場により調達した資金額はいくらぐらいになるのでしょうか。
2019年に新規上場した企業を例にとって解説いたします。
 
2019年に新規上場した会社は全部で86社。
資金調達額が総額約1兆47億円、1社あたり平均12億1800万円です。
(調達金額はあずさ監査法人発行の「2019年のIPO動向について」https://assets.kpmg/content/dam/kpmg/jp/pdf/2020/jp-ipo-report-202001.pdf
を引用し、1社あたり平均は弊社独自で計算しました。)
 
もっとも多くの資金調達をした会社がフリー株式会社(クラウド会計ソフトのサービスを提供)で108億7000万円。
 
もっとも少ない会社はHENNGE株式会社(クラウドセキュリティサービスを提供)で7000万円の資金調達を達成しております。
なお、フリー株式会社は赤字で上場を果たしています。
 
ここで成熟産業から2社をピックアップし、それらの会社の資金調達の用途をご紹介いたします。
 
まず、1社目は
株式会社あさくまです。
「ステーキのあさくま」などの店舗を全国に87店舗展開するレストラン事業を行っています。
6億2500万円の資金調達を達成しております。調達資金の使途ですが、直営店の新規出店16店舗に充当するとのことです。
 
次に、2社目は
株式会社グッドスピードです。SUVを中心とした自動車販売、買取事業を行っております。
7億7000万円の資金調達を達成しております。
調達資金の使途ですが、こちらも新規出店に充当する予定で、充当時期までは調達資金を安全性の高い金融商品にて運用するとのことです。
また、新卒の採用実績ですが、2017年度が計22人(女性11人)、2018年度が計22人(女性4人)、2019年度が計42人(女性14人)と上場後に増加しております。
 
 
さて、次回のメルマガでは
このような新型コロナウィルスによりIPO市場が低迷している中、現在上場準備中の会社、また、これから準備を始めようとしている会社はどう対処するのが良いのか、という点と、
上場によって調達した資金をもとに年商を2倍以上に会社を成長させた会社についてご紹介いたします。
 
執筆者:金融・M&A支援部 宮井 秀卓

 
 
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