営業利益3,000万円で3~5年後にIPO(新規上場)も!

IPOに必要な売上や利益水準
 
Point
・上場するためには、形式要件をクリアする必要があるが、
 上場可能な企業規模を知っておくことも重要
・市場によって、企業規模は分かれる
・マザーズであれば、売上20億円未満、営業利益2億円未満でも上場可能
 
■IPO(新規上場)のハードルは高い?
日頃、企業経営をされているなかで、IPOをお考えになったことはおありでしょうか。
 
IPO(新規上場)とは、Initial Public Offering の略で未上場企業が、証券取引所で株式を公開し、第三者が売買できるようにすることです。
 
一般的には、IPOをすることで
・調達可能な資金の量と質の増大(銀行借入以外の選択肢が生まれる)
・「上場企業」というステータスの獲得、知名度の向上により、取引先の拡大や、人材採用で有利になれる
・IPOの準備を通じて、会社の資本回りの整理や、経営管理体制の強化
 
といったメリットがあります。
 
しかし、IPOを検討しようとしても、
 
・IPOの挑戦のハードルは高そう
・IPOできる企業規模が分からない
・結局のところ、IPOを目指すべきか悩んでいる
 
と感じられることもあると存じます。船井総研ではIPO(新規上場)のご支援に取り組んでおりますが、上記のようにお考えの経営者の方も多々みられます。
 
そこで、本稿では実際にIPO(新規上場)した企業のデータをもとに、「どの程度の規模ならどの市場に上場可能か?」をお伝えしてまいります。
 
 
■2018年に上場した企業の業績水準は?
 
自社の成長性や、マーケットの動向、資金調達の必要性、上場後の知名度といった、自社の現状と上場目的によって、選択を進めていくことが望ましいです。
また、IPOは最低3年~5年間の準備期間を経て上場審査を受けることが望ましいです。つまり、3~5年後に、自社がどの程度の規模まで成長するのかを見据えながら、目指す市場を決めていくことも市場選択のポイントになります。
 
以下は、東京証券取引所における本則市場(東証一部・東証二部)ならびに新興市場(ジャスダック・マザーズ)へ上場した企業の業績になります。
 
 
▼東証一部(7社が上場)
 
-売上高-
MAX ソフトバンク   3,547,035百万円
国際紙パルプ商事   366,777百万円
ワールド       245,829百万円
日総工産       53,533百万円
キュービーネットホールディングス   17,971百万円
min スプリックス   8,504百万円
 
-営業利益-
MAX  ソフトバンク     641,935百万円
ワールド           13,225百万円
アルテリアネットワークス   7,549百万円
スプリックス         1,164百万円
キュービーネットホールディング   1,502百万円
国際紙パルプ商事      1,031百万円
min   日総工産       860百万円
 
(Edinetを基に弊社集計)*いずれも上場直前期(N-1期)の業績です
 
ソフトバンクの上場は近年稀にみる大型案件で、その規模は時価総額7兆1870億円、調達額(公募)は、2兆6460億円でした。
東証一部に直接上場した企業は7社と、全上場企業90社のうち7%です。東証一部への上場は、他市場ですでに上場し、次のステップとして目指されることが多いです。
現行の上場基準では、マザーズから東証一部へ上場する場合に求められる時価総額は40億円で、直接東証一部を目指すよりもハードルが低くなります。このため、マザーズへ新規上場し、次に東証一部を目指す企業が多くみられます。
 
 
▼東証二部(5社が上場)
ー売上高ー
MAX  オーウウェル       63,750百万円
ナルミヤ・インターナショナル   26,954百万円
信和               15,194百万円
コーア商事ホールディングス    15,133百万円
min  共和コーポレーション    11,978百万円

ー営業利益ー
MAX 信和            2,631百万円
コーア商事ホールディングス    1,614百万円
ナルミヤ・インターナショナル   1,404百万円
オーウエル629百万円
min 共和コーポレーション     318百万円
 
(Edinetを基に弊社集計)*いずれも上場直前期(N-1期)の業績です
 
東証一部と比較して企業規模は小さいものの、マザーズやジャスダックといった新興市場よりは大きくなります。
 
 
▼ジャスダック(14社が上場)
ー売上高ー
MAX       極東産機   8,891百万円
min       マリオン   2,511百万円
 

 
ー営業利益ー
MAX       田中建設工業     1,258百万円
min       ディ・アイ・システム 150百万円
 

 
(Edinetを基に弊社集計)*いずれも上場直前期(N-1期)の業績です
 
売上高が40億円未満の企業が全体の半数近くを占めており、60億円未満の企業加えた場合、全体の70%を超えます。
営業利益についても、約半数の企業が4億円未満で上場をしています。
なお、ジャスダック上場企業の中で売上高が最大だった極東産機は、船井総研のIPOを目指す企業が参加する研究会(IPO分科会)でご登壇いただき、IPO準備中の経験談などをお話しいただきました。(IPO分科会LPのUR Lhttps://lpsec.funaisoken.co.jp/funai-ma/ipo/)
 
 
▼マザーズ(63社が上場)
ー売上高ー
MAX SBI インシュアランスグループ   61,286百万円
min デルタ・フライ・ファルマ     150百万円
 

 
ー営業利益ー
MAX メルカリ   5,787百万円
min ラクスル   -1,145百万円
 

 
(Edinetを基に弊社集計)*いずれも上場直前期(N-1期)の業績です
 
マザーズへの上場の場合、売上高20億円未満の上場が過半数を占めます。営業利益についても、2億円赤字で上場含む)で上場した企業が全体の6割を占めます。
マザーズでは、上場時の企業価値より、その後の成長性が問われます。上場時には、投資拡大期にあり営業利益を計上していない状況でも上場することが多々あります。典型的な例としては、メルカリです(同社は赤字で上場)。
 
 
■これからIPOを目指す際、次にとるべきアクションとは?
 
新規上場というと、ハードルが高いと感じることもあるかもしれませんが、市場によってはに上場に必要な業績に到達することも可能で、IPOに現実味が増した方もおられるのではないでしょうか。
そして、ジャスダックやマザーズを新規上場先として選択することが多いこともご理解いただけたと存じます。
IPOを目指す場合は、目指すべき市場の選定と、そこにむけて会社をいかに成長させるか、そしてIPO準備をどのように進めていけばいいか、というIPOプロジェクトのキックオフが、ネクストアクションとして必要になります。
 
自社の今後の方針の一つとしてIPOを検討される場合はセミナー参加を通じて情報をキャッチしていかれることをお勧めいたします。
 
 
<執筆者>:
株式会社船井総合研究所
金融・M&A支援部
平井 貴大
 
 

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