名ばかり管理職は残業代不要?労務管理で抑えておきたい3つのポイント

2019年4月1日から働き方改革関連法案が順次施行されており、有休取得や労働時間の客観的把握など対応を迫られている企業も多いことと思います。

最近の上場審査においても、「労務管理」は審査で大きく見られるポイントの一つであり、労務管理上の問題が起こると、審査の中断、最悪の場合にはIPO(新規上場)の断念にまで発展することもあります。

 

IPO(新規上場)する、しないに関係なく、労務管理をきちんと行うことは、会社を守る、社員を守ること、ひいては内部体制を強くすることにも直結します。

さらに労働時間と賃金の問題は会社の業績に影響が出かねない項目でもあります。

 

そこで、「労務管理」の観点から今すぐ実施いただきたい3つの施策についてお伝えします。

 

 

労働時間の客観的な記録での管理

働き方改革関連法案の項目の一つが、「労働時間の客観的な把握義務」です。

お伺いする企業様の中には、そもそも労働時間を把握していない、従業員自らが勤務表に手書きで勤務時間を書き込む、などで対応していることがみられますが、「客観的」という観点ではNGです。

「客観的」な把握を行うために、時間管理の原則的な方法として、タイムカード、ICカードをはじめとした客観的な記録方法で管理を行いましょう。管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者については時間管理の対象者からは除かれますが、健康確保の観点から、過重な長時間労働を行わせないように、担当を設置し、適切に把握・管理していくことが必要です。

 

未払い残業代対策

上場審査では未払残業代についても気にしなくてはいけません。準備段階から、未払い残業代を精算しておくことと、新たな未払い残業代を発生させない体制の構築が求められます。残業代は退職しても一定期間支払い義務が発生します。そこで実施いただきたいことが、退職時に未払い残業代がないという状態にしておくことです。
具体的な方法については別の機会にご説明します。また、ただチェックさせるのではなく、有効的に機能させる上でも人事側で「退職者面談」を合わせて実施することをお勧めします。

 

管理監督者のチェック

上記、2項目の対応とあわせて、チェックを行っていただいたい内容が「名ばかり管理職」になっていないかの確認です。上場審査において、管理監督者性を否定され、その人数が多くを占めていた場合、未払い残業代が多額に及ぶリスクを抱えています。チェックにあたり、「店長職」、「マネージャー職」など、自社が管理職と定めている役職名はいっさい関係なく、「労基法上の管理監督者」がどうかが問われます。過去の裁判例(※)などから「管理職」の要件として下記3つが挙げられます。

 

・実質的に経営者と一体的な立場にあるといえる重要な職務と責任 、権限が付与されていること

・自己の出退勤も含め労働時間について裁量があり 、 労働時間について厳格な管理下に置かれていないこと

・一般の従業員と比較してその地位と権限にふさわしい賃金上(基本給 、手当、 賞与など)の待遇を付与されていること

 

上記をチェックし自社の管理職の実態を把握、要件に反している場合は残業代の支払いなど対策が必要です。

 

以上、3つ実施いただきたいことをお伝えしました。労務管理をはじめとした内部体制作りは、

対策が甘いと重大な経営リスクにつながる可能性があります。「上場は特に考えていないから・・・」「優先順位が低いから…」という理由で対応しないのではなく、現在の時流に合わせた経営を行う上で、経営者自らが必須項目と考え取り組んでいただきたい内容です。ぜひ、ご参考にしてください。

 

 

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※「管理監督者」に関する具体的な裁判例

・東京地判平20.1.28労判953号10頁

・大阪地判昭62.3.31労判497号65頁

 

(執筆者)

株式会社船井総合研究所

金融・M&A支援部

隅屋彰則

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