~デューデリから未来へ向けて~「組織の本道とは」Vol.154

企業の業績がおかしくなるには、いくつか理由がある。一つの理由として、よく挙げられるのが、外的環境の変化。例えば、法律や規制の変化、競合の進出、人口動態の変化、技術革新などであろう。

 

再生のご支援をしているなかで、再生に陥る多くの企業のトップに話をきくと、外的環境変化を主要因としている場合が多い。確かに、それはきっかけであることは否定しない。しかし、本質はそこではなく、企業の方向性や戦略などの内部環境に付随することがほとんどである。

 

例えば、先日、ある企業のトップから相談を受けた。その社長は、2代目で、創業者社長が、まだ元気で経営の実験を握られている。これまで、順調に成長をとげてきた企業であるが、ここ5年は成長がストップ。また、利益が減少している。

 

その理由を聞くと、ここ5年、本業以外の事業にどんどん投資をかけていること、また、その事業がどれも上手くいっていないということ。そして、これだけでなく、これまで順調だった本業で、社員の離職が高まり、競合への転職や、現場で不正が起こるなど、問題が頻発しているという。

 

なぜそのような状況になっているかというと、対象企業が位置している業界で技術革新がすすんでおり、業界自体が将来的に減少する可能性があるからである。そのために、トップは、別事業に投資を振り向けている。この発想はわかる。

 

しかし、もう少し本質的なことを聞いていくと、実は、トップが目標を自分の代で100億円に何が何でも到達させたいというところにある。現事業だけでは、100億円が見えないので、新規事業に邁進しているようである。

 

100億円いくことが目的になっており、企業の本道と違う観点で戦略がすすんでいるところに大きな問題がある。 従業員にもそこが透けて見えるため、特に本業で頑張っている従業員の間から、会社に対する不信感が出ているようである。

 

立ち会ってきた再生企業も、多くはこのパターン。本業はそこそこに好調だったが、別の投資に失敗し、そうこうしているうちに本業も崩れだして、それがとまらなくなるというもの。会社は“法人”であり、“人”と書いているがその通りである。

 

人にはそれぞれ、天から与えられた能力と生い立ち、そして育ちと現状の立ち位置からくる自身の本来やるべき事というものがある。企業も同じであり、トップの方向性とは別に、組織にも意思があると常々思っている。そこから外れる内容を推し進めていくと、その企業は厳しくなっていくことをよく目にする。

 

・その企業が、世の中になぜ誕生し、どのような成長過程をおってきたか。

・その過程で形成されてきた企業風土や体質。

・業界の中のおける自社の立ち位置。

 

これらのことをしっかり押さえて、長期を見据えながら、今、その企業が本質的に何をすべきか。これを見据え、方向性を出していくのがトップの役割である。私が実施するデューデリも、この観点で行っている。本道に戻ると、必ずその企業のツキは回復し、業績が上向きになるものである。

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