~デューデリから未来へ向けて~「投資判断」Vol.135

投資判断は、投資採算シミュレーションや回収年限だけでなく、その元になっている数値計画の実現可能性と行動計画への落とし込み、低位で進んだ場合のシミュレーションなど、チェックしないといけない項目が非常に多い。

 

新規事業の場合は、そのビジネスモデルや競合関係、成功ポイントなど、さらに再生に陥る企業の多くは、この投資判断の失敗によるものである。そこに、事業のダウントレンドが加わると、ほとんどが企業破綻にすすんでいく。

 

さて、ある企業の投資判断について、金融機関及び対象企業トップが揃うなか、アドバイザーとしての意見を求められる場面があった。 この企業、卸業態であるが、近年、売上ダウン傾向にある。一番、大きな問題は、売上の70%程度を担う、ある業種への卸事業が、年率10%のスピードでダウンしていることにある。

 

トップ曰く、「その理由は、物流センター機能の老朽化と新しい要望に対応できない」というものであった。そのため、設備投資を実施したいというもの。この施設が充実すれば、失った顧客を取り戻すこともでき、ダウントレンドから成長に舵をきることができるというものであった。

 

また、現状は、ぎりぎり黒字であるが、このままだと、来期以降、確実に赤字になっていくことが見えている。社長は2代目で、先代からの蓄えがあり、現状は、実質無借金経営。当社が、簡易でシミュレーションしてみたが、その投資を実施し、売上がアップトレンドに入ったとしても、大型投資過ぎて、数年後に資金が回らなくなることが予測された。

 

その投資を回収するにしても、社長が考えているマーケットが市場にないこともある程度予測された。そのため、投資回収するには、別のターゲットや商品卸に入っていく必要があるが、その場合は、設備要件が変わってくる。

 

社長は、この投資がないと売上ダウンは止まらないというのも、事実といえる。非常に難しい判断である。一つは、思い切って事業を断念して、企業に価値があるうちに売却するというのも手として考えられる。第三の道として、違う事業に進出していくということも、その社長は、全く受け入れられないとのこと。

 

投資をしても、しなくとも数年後に同様に厳しくなる。ただ、一方は破綻、一方は、借入金なしでの事業精算。投資をしながら、現事業のターゲットを変えていくという、難しいことにチャレンジするという方法もあるが、トップにその覚悟がなければ、これは実現しない。

 

最後は、トップの判断と覚悟の問題となるが、それがない中での投資判断だけは、避けてほしいものである。

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