~デューデリから未来へ向けて~「金融機関におけるデューデリジェンス能力【1】」Vol.125

船井総研において、金融機関との連携窓口を長らく担当してきた流れもあり、金融機関の従業員に対する営業研修もかなりの数を実施してきた。金融機関のように業種や規模が異なる様々な事業者に対して、その企業を見極め、お金を貸出す業務には、一定のデューデリジェンス能力が求められる。それを身につけさせてほしいということである。

 

この研修、一時期は多かったのであるが、この数年前までは、減少していた。それが最近、また復活しつつある。この減少していた理由の大きなものの一つに、「信用保証協会付き融資」が政府の方針で、多く出回ったことにある。この保証協会付き融資の特徴は、保証協会に借側が一定の保証料を払えば、仮に何らかの事情で返済できなくなったときにでも、国の費用で返済がなされるという制度。

 

これは、お金を貸す側にとって大きなメリットがある。それは、細かい審査や貸した後のフォロー、回収に力を入れなくともよいというものである。ちなみに、なぜ、この制度が一気に普及したかというと、バブル崩壊以降の金融体制にある。金融機関は、不良債権処理を金融庁からきつく指導され、貸出資金回収や債権カットに全力を挙げたことによる。そのため、倒産する企業が急増、それを救うために、もう一方の飴的な処置で強化したのが、この保証協会付き融資。

 

とにかく銀行は、リスクがなくお金を貸せるというもの。この制度のおかげで、失われた20年の間に、多くの金融機関が、それまで保有していたデューデリジェンス能力やノウハウも同時に失ってしまったという経緯がある。個別で差はあるものの、多いところでは、事業性融資のうち8割ほどが保証協会付き融資になっているところもあるほど。それが、近年、金融庁の方針が大転換、金融庁自身も、この保証協会付き融資の副作用による金融機関の貸出審査能力(=デューデリジェンス能力)を弱体化させたことを認めた。

 

その上で今後は、融資先の企業自体をしっかり見ること、そして融資以外でも企業をサポートすることを大方針として掲げた。そのため、今の金融機関は、コンサルティング的能力も求められるようになり、付け加えるなら、コンサルティング業務でフィーを得ることも推奨されている。これが近年、金融機関よりの研修依頼増加にもつながっている理由である。さらに、金融庁による金融機関の貸出先チェックによる債権区分(金融庁監査)も止めるという方向へ。

 

そのため、金融機関において、必要とされるようになってきたのが、20年前は普通に行われていたデューデリジェンス能力。これを早急に回復させないといけなくなっているというのが現状である。それでは、実際にその能力をどのようにつけるべきか、次回、このところに触れていきたい。

 

全ての経営は、現状を的確に認識(デューデリジェンス)し、未来に向けた“今の変革”からはじまる。

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