~デューデリから未来へ向けて~「新規事業と孫子」Vol.107

新規事業の依頼が増加していることは、このメルマガでも何度か述べている。市場が飽和しているため、別の市場に活路を見出したいということであろう。また、新規事業は成功しにくいこともご承知のとおり。新規事業の多くは、すでに存在している市場のパターンと、これから自ら市場を拡大していくパターンがある。どちらにしても、自分が知らない市場に出ていくこととなる。

 

「天の時、地の利、人の和」とは、中国の孫子が述べた言葉として有名である。これは、新規事業にも非常によくあてはまる。これを船井総研の言葉に置き換えると、以下のようになる。天の時とは、すなわち時流適応のことである。船井幸雄が最も重視した戦略の一つが時流適応であり、大きな時代の流れ、そして、業界の流れ、お客様の流れをつかんで、それに対応するというものであり、まさしく、天の時をつかむというものである。

 

新規事業を行なうときにも、当然、天の時というものがある。どのタイミングで参入するのか、自社内での時もあれば、その参入する業界の時も見極める必要がある。地の利とは、一般的に立地を活かすということであろう。これをもう少し過大解釈すると、自社の業界における立ち位置であり、その中で自社が有利にたてる場や強みを明確にして、市場を有利に導くというものである。

 

多くの新規事業で失敗するのは、自社と全く関係のない領域で勝負をすることである。まさしく地の利がないところから参入するというのは、本来避けるべきである。そして、市場、顧客、商品、流通過程など、なんらかの自社の地の利が活かせる部分での参入がなければならない。人の和とは、一体化のことである。船井幸雄がマネジメント戦略で最も重視したものが、一体化戦略である。

 

個々の能力が高い集団であっても、一体化していなければ、高いパフォーマンスを発揮することができない。そのため、一体化には、いくつかの条件が必要となってくる。トップへの信頼、正しい理念(考え方)、自分たちの向かう方向性(ビジョン)の明示とそこに達するための手法(戦略)が必要である。新規事業においても同じで、その事業を推進するメンバーの一体化はもちろんのこと、既存事業に従事するメンバーや関係者からの協力も欠かせない。

 

まさしく全社が一体となって、新規事業を成功させるという土壌が醸成できなければ、様々に発生する問題・課題を乗り切ることはできない。しょせん新規事業は数名からはじめるため、全社のバックアップがなければ成功はおぼつかない。

 

全ての経営は、現状を的確に認識(デューデリジェンス)し、未来に向けた“今の変革”からはじまる。

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