~デューデリから未来へ向けて~「転ばぬ先の杖~管理会計のポイント~」Vol.85

今回は、急成長の落とし穴の話と管理会計について話をしたい。

 

企業が急成長することは、非常に喜ばしいことである。しかしながら、急成長には、様々なリスクも内包していることを忘れてはならない。そして、そのリスクを軽減するのが管理会計の仕組みである。

 

先日、あるメーカー企業様より相談を受けた。この企業、3年で売上高が倍に成長。利益も出ているし、順調と思いきやそうではない。資金繰りが厳しくなっている。トップは、成長をストップさせたくないが、資金繰りが厳しくなっていることも事実。特に営業側の鼻息は荒く、さらに攻めていきたい思いを強くしている。その勢いをとめたくないが、だからといって、むやみに攻めることだけはしたくない。そこで、当社に相談にこられた。

 

そこでまず、資金が厳しくなっている状況を分析してみると、成長にともない先行的に商品在庫への投資が膨らんでいることが第一の原因。次に、気になるのが在庫問題。これまで営業側が上手にコントロールして、ほぼ期中に仕入れた商品を売り切ることができていた。しかし、急速な成長にともない、全体の商品コントロールを失いつつあり、売上以上に在庫が積みあがってきている。これは危険な兆候である。

 

そこで、以下の対策を打つこととした。

 

・在庫と消化率状況の見える化(営業会議への資料提出)
・発注スパンの細分化
・月次資金繰り計画と実績推移の追いかけ
・商品別の回転率と粗利貢献による商品開発へのフィードバック

 

まず、営業会議に、これまでの売上報告とともに、商品の在庫と消化率の状況を見える化したものを提出していくこととした。そして、在庫が残ることの危険性を、営業社員にも認識してもらう仕組みとしたわけである。

 

それとともに、製造発注スパンを少し細かくした。これまで一度に発注していたものを、数回に分けて発注。消化率の状況を見ながら、発注数を抑える仕組みを導入する。これと同時に製造改革も実施していく必要がある。発注を受けてから、仕上がりまでのスパンをこれまで以上に短くする努力をしなければ、逆に売り逃しをするリスクが発生するからである。

 

そして、売上管理だけでなく、入金と支払の状況がしっかりとわかるようにし、それを月次資金繰り計画と連動させて、計画と実績をしっかり追えるようにする。また、商品力を向上させていく仕組みの導入も検討。具体的には、商品別の消化スピードと粗利貢献度を見やすくし、どの商品分類を強化していくかがデータでも分かるようにし、開発部門にフィードバックする。

 

この会社は、トップがデータ管理の重要性をもともと感じていたため、欲しいデータはすぐ取り出せるようになっていたため、これらの施策を実施するのも、比較的簡単に行えた。管理会計とは、欲しいデータが、ほしい単位で、欲しいタイミングで、必要な人が見ることができるようにすることである。これがあれば、いきなり倒産に追い込まれるというようなリスクは、大きく軽減される。

 

全ての経営は、現状を的確に認識(デューデリジェンス)し、未来に向けた“今の変革”からはじまる。

メールマガジンの一覧へ
このメルマガの配信を希望する
事業承継・M&Aに関するお問合せをする