~デューデリから未来へ向けて~「再生に陥らないためのマーケットサイズの考え方」Vol.57

船井総研には、マーケットサイズという考え方がある。日本に流通している多くの商材の年間販売額は、統計がしっかりしている日本において追いかけることが可能である。

 

一般消費者向けでは、その総販売額を日本の人口で割れば、一人当たりの年間消費額が統計上出すことが可能となる。これをマーケットサイズ(市場規模)という。このマーケットサイズは、自社の対象エリアにおける市場規模やシェアの算定に利用できるため、使いやすい。

 

さて、ある企業様から先日、新規事業で野菜を中心にした飲食店を展開したいというご相談があった。現在、確かに一部で有機野菜ブームにのり、野菜をメインとした飲食店ができつつある。しかし、実態はどうかというと、東京などの商圏人口が厚い一部のエリアでしか成り立っていないのが現状である。

 

野菜がメインの業態は、最近でてきたばかりで、しかも好調なところは少ない。そのため、マーケットサイズは、算定が難しいというより、市場としてほぼ存在していないといえるかと思う。また、野菜主体は、極端に顧客層を絞ってしまうこととなる。簡単にいうと20~30代の女性。これだけで、劇的に客層が減ってしまう。

 

よほどの好立地で展開しない限り難しいというのが、現状であるため、その旨、お客様に伝えると、実は、すでにオープンまで2ヶ月をきっており、すでに準備段階に入っているという。そんな段階で、相談してこられてもと思うのだが、その企業様もやはり心配で直前になって聞いてきたのだろう。

 

そこで、マーケットサイズの付加を提案した。野菜だけでは厳しいため、一般的にメイン食材として確立されている飲食メニューを付加することである。例えば、温野菜としゃぶしゃぶ。しゃぶしゃぶは、マーケットサイズが800円ほどとそれほど大きくないが、温野菜との相性がよく、また、市場も伸びている(例えば焼肉などはマーケットサイズが4000円を越える大きな市場であるが、店舗の構造自体を変更する必要があり、提案は難しい)。

 

それ以外だとトンカツなども有効的。トンカツは幅広い層にうけ、マーケットサイズもしゃぶしゃぶよりもさらに大きくなる。しかし、それだとトンカツ屋であり、野菜コンセプトが崩れると拒否感。野菜と相性が良いのは肉系であり、肉はマーケットが大きい。

 

こだわりをもって商売することは非常に重要なこと。しかし、マーケットサイズがない中で実施するには、よほどの資本力がなければしてはいけない行為。こだわりと商売のバランス、そろばんと論語のように全てバランスであろう。

 

全ての経営は、現状を的確に認識(デューデリジェンス)し、未来に向けた“今の変革”からはじまる。

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