~デューデリから未来へ向けて~「事業部門の再生とスピード感」Vol.33

船井総研には“泥縄式経営法”というものがある。

 

この“泥縄”とは、どろぼうを見てからそのどろぼうを捕まえる縄を編むという例えから、物事が起こってから考え対処するということに使われている。

 

船井総研は、とにかくチャレンジとスピードを大切にしている会社であり、少々失敗してもまずやってみようということが優先される社風。安定した環境下では、しっかり考え準備をすることも大切であるが、走りながら考える方が変化の激しい時代にはマッチしていることも多い。

 

さて、ある上場クラスのメーカー様に対するご支援の場でのこと。その会社にある一部門は、公共事業をメインクライアントとした展開を実施していたが、競争の激化による売上及び粗利の低下で公共事業からの撤退を決定。一般企業向けの商品展開に全面的に切り替えることとした。当然、売上・利益も激減し、その部門の半数以上が他部門に移り、再起をかけて当社にそのアドバイスを依頼してきた。

 

デューデリの結果、いくつかある商品ラインのうち、ある一つのカテゴリー商品のみが、一般企業に比較的売れており、しかも規模の大小やエリアに関係なくまんべんなく全国から発注がある。そこで、競合の状況も探ってみたところ、価格や品質でその企業の商品が圧倒的に優位にたっていることが分かった。

 

ただ、その商品のマーケットはメイン市場の10分の1程度であり、小さい。しかし、市場に切り込んでいくには十分すぎる力を持っており、その商品をフック商品として、企業から引き合いをとり、その商品(もしくは他の商品)を絡めて、そのまわりのシステム設計やメンテナンスまで含めた商品・サービス提案をするプランを提案。

 

そこで、トップより返ってきた答えが「じっくり考えさせてほしい」。

 

私の経験値上、売上・粗利が下がり気味のメーカー様に共通した特徴が2つほどある。

・意思決定と展開スピードが実にゆっくり(堅実ともいえる)

・商品を品番で呼ぶ

 

私は、これを内向き体質の表れと勝手に呼んでいる。特定の顧客相手に定型的な商売をしているので、劇的な変化は必要なく、ゆっくりじっくりという考え方が主流。ただ、メーカーは簡単に商品開発もできないので、仕方なしといえばそれまでだが…。

 

また、自社の商品も品番や型番で呼ぶことが多く、他人からはまったくわからない。カタログも品番だけが載っている。品番は必要ではあるが、それだけ見ても当然、お客様もわからない。品番とは別に分かりやすい名前をつければいいのにといつも思ってしまう。これらは会社が顧客を向いていない代表的な現象だろう。

 

トップも現場も我々の提案は理解してくださったのだが、もっと考えてから決めるとのこと。でも公共事業からの撤退は決めているんでしょ。考えるよりも早くトライ&エラーをしたほうが、経験値がつめるのに…。

 

全ての経営は、現状を的確に認識(デューデリジェンス)し、未来に向けた“今の変革”からはじまる。

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