~デューデリから未来へ向けて~「M&Aにおいて高く会社を売却するには」Vol.30

前回記載したM&Aにおけるバリューアップについて、もう少し話をしておく。

 

売却額算定には、DCF法などが有名である。しかしこの計算方法は、将来その会社が稼ぐであろうキャッシュ・フローを正確に見積もることは容易でなく、上場企業のような予実管理や中期経営計画などがしっかりまわっている会社でないと難しいといわれている。

 

そこで、特に中小企業におけるM&Aでは、以下の2つを組み合わせて会社の価格を決定する場合がほとんど。

 

①純資産額による現在価値の算定

バランスシート(貸借対照表)からの現在価値=現段階で会社を清算した場合、いくらの現金(及び現金相当物)が残るかというもの

 

②のれん代の算定

修正は必要であるが、その会社の経常利益(営業利益)に対して3~5年程度と算定することが多い。短期間でバリューアップを図る場合は、①をコントロールすることはなかなか難しいため、②のところに集中した方が早い。

 

また、経常利益は直近だけをみるのではなく、やはり数年にさかのぼってみる。たとえば、経常利益額が3年前1億円、2年前0.5億円、直近期0.3億円の場合、平均経常利益は0.6億円となる。ただ、ダウントレンドの場合、その価値はもう少し低く見られてしまいがちで、0.3億円の経常も厳しいのではという見方となってしまう。

 

これに対して、同じ会社でも直近期が0.9億円だったとしよう。平均で0.8億円、しかも直近は平均を上回り、だいたい1億円近く利益を出せる会社という印象が強くなる。1年の利益は0.6億円であるが、M&Aの場合、この差が3倍から5倍以上になってしまう。

 

つまり、まずは直近の利益をアップ、また、利益アップもリストラ的なものでなく、売上アップを伴ったものが圧倒的に見栄えもよくなる。そのため、売却を1年遅らせ、まず売上と利益をアップすることに専念するだけで、企業の価値は数億円かわってくることがざらにある。

 

また、現在いる従業員の方々の従業員給与も少し上げておいて上げることも検討しておきたい。なぜなら多くは、少なくとも1年間は従業員の給与を下げることができないという条件にもなるからであるとともに、売上が上がっていることによる自信もつく。

 

株主にとっても従業員にとってもハッピーになる方法を考えた上で、売却は検討すべきである。この売上アップと利益アップを同時に行えるのが船井総研の強みといえよう。

 

今日は少し関係ない話であるが、やっぱり全ての経営は、現状を的確に認識(デューデリジェンス)し、未来に向けた“今の変革”からはじまる。

メールマガジンの一覧へ
このメルマガの配信を希望する
事業承継・M&Aに関するお問合せをする